『営業のサボりは辞められる』営業が面白くなるために鍛える“準備力”

この記事を読んでくれているあなたは、営業の方、もしくはこれから営業になる方だと思います。

会社によって異なるかもしれませんが、営業は、自分でお客様との商談日を設定するため、スケジュールは自分次第の部分がありますよね。

たとえば、13:00〜14:00の商談の後、次のアポイントが16:00だったりすると、喫茶店に行ってコーヒを飲みながら一息みたいなことは日常茶飯事かと思います。あっ、これを本記事のタイトルにある『サボり』と言っている訳ではありませんので、誤解なきようお願いいたしますm(_ _)m

今回私がお伝えしたい『営業のサボり』は、本格的なサボりのことを指しています。本格的なサボりとは、たとえば、営業訪問のために会社を出た後、

  • 自宅に戻ってゲーム
  • パチンコなどのギャンブルに行く
  • スーパーやショッピングモールの地下駐車場で爆睡

夕方になったら、さも営業してきましたという顔で会社に戻り、上司に偽の営業報告をして、退勤する。

これを本格的なサボりとしています。
あなたの周りには、このような営業マンは居ますでしょうか。

今回の記事では、この本格的なサボりから抜け出せず悩んでいる営業マンの方に、サボりの沼から抜け出すきっかけになれば嬉しく思っています。

目次

サボリーマンだった私

実は、先程あげたサボり例は、私が新卒で入社した会社の先輩の実例です。初めてこの事実を知った時は、本当に驚きました。

しかし、“人間は環境によって変わる”というのは事実で、半年もすると感覚が麻痺するのか、いつの間にか私もサボリーマンへとなっていったのです。

初めは、「昨日は提案書作りで夜遅くまで頑張ったし、今日は午前中はサボっちゃおう。先輩もやってるし。」といった、サボりを正当化させる言い訳を自分に言い聞かせる、ちょいサボりから始まりました。

このちょいサボりで『サボりの快感』を味わってしまうと、周りからは何も言われませし、サボりがどんどんエスカレートしていってしまい、本格的なサボりが習慣化されてしまいました。

この習慣化が恐ろしいもので、ある日、私が勤めていた営業所が、近くの営業所と統合されることになったのですが、この近くの営業所が成績優秀な営業所で、イケイケの営業マンたちが所属していました。

営業所長もそちらの所長に変わり、私も、働かざるを得ない状態になり、サボりを辞めてちゃんと働こうと決意をしたのですが、それまでサボっていたことで、営業の経験値もたまっておらず、『営業』というものがどういうものか忘れてしまっていました。

営業のできない私は、成績も上がらず、お客さんともまともに商談ができなかったので、営業がつまらなくて、辛くて、苦しくて、もう辞めようと思っていました。

そんな私を見兼ねた当時の営業所長が、自宅に招待をしてくれ、話を聞いてくれました。私はサボリーマンであったことを正直に話したのですが、営業所長は怒るどころか、「お前、すげぇな。良くそんなことできるな。俺もサボってた時はあったけど、そのサボるパワーがあれば大丈夫だ!」と大爆笑をしてくれました。

そして、私が変わるきっかけをくれたのです。

私がサボリーマンを抜け出せた理由

私がサボリーマンを抜け出せた理由は、たった1つのことです。

それは、『営業が楽しくなったから』です。
大爆笑してくれた所長は、私が、営業が楽しくなるように指導をしてくれました。

とくに、初めて会うお客さんとの初回商談がある前などは、何度も打ち合わせを重ねてくれて、準備を一緒にしてくれました。そうです、この準備を一緒にしてくれたことが、私が『営業は楽しいもの』というマインドになれたことだったのです。

「どうしたらお客さんが喜んでくれるかな。」というのが、所長の口癖でした。お客さんが喜んでくれることを準備して、商談に臨むというのが、今での営業の基本スタンスになっています。

そして、今回、この記事でお伝えしたいのが、営業は準備が重要で、その準備力を向上することで、営業が面白くなるということです。

営業は準備力

今回、営業は準備力が大事ということを伝えるにあたって、私が所長に教えてもらっていたことと非常に近い内容が書かれた本がありますので、こちらをベースにご紹介していければと思っています。

その本は、「営業は準備力(東洋経済新報社)」です。

タイトルそのままなのですが、この本では商談前の準備と、商談時のヒアリングが重要であると記されており、実際にどのような準備をすることが良いのかが丁寧に書かれている良書です。

内容が濃いので、記事としては3部構成にしてお伝えしていきます。

  • 第一部:営業の準備力とは
  • 第二部:営業の基本(知識編)
  • 第三部:営業の基本(行動編)

今回の記事では、『第一部:営業の準備力とは』からご紹介していきます。

求められている営業スタイルが大きく変っている

現代の営業は、ものがない時代の営業スタイルではなく、ソリューション営業が求められているとされています。

ソリューション営業とは、お客様がいまどんな問題を抱えているのか、どんなニーズがあるのかを的確に汲み取り、それに即した自社の商品・サービスを選んでもらう営業活動のことを言っています。

営業プロセスを図式化した以下の図で、現代の営業を見てみます。

需要>供給時代には、最後の⑤クロージングに注力されていました。一方的な商品説明、買うか買わないかを迫る売り方がされていました。それでも、売れていた時代なのです。

しかし、現代の需要<供給時代にこの売り方をしていたらどうでしょうか。まず売れないですよね。

いま求められているソリューション営業では、③お客様のニーズをヒアリングすることに注力することが望ましく、そのためには、いかに①事前準備をしておくかがもっとも重要なのです。

本来営業はとても楽しいもの

ここで一つ問題です。

下図は検索サイトYahooであるキーワードを入力した時に表示される、関連検索ワードです。

それぞれ、当てはまるキーワードは何でしょうか。

正解は、左側が「仕事」、右側が「営業」のキーワードです。

多くの人が、仕事に対して「行きたくない」「つらい」「辞めたい」と思っていて、営業に対しては、「向いてない」「サボりたい」「辞めたい」と思っていることが見えてきます。

日本人は一日平均10時間、65歳までの43年間働くと、生涯で10万時間を仕事に費やします。こんなにも長い時間、つらい苦しい時間を過ごしている人が多いなんて、もったいないと著書は言っています。

実際に、この記事に辿りついて、ここまで読んでくださっている方は、営業職に就いている人が多いと思います。現時点で、思うような成果や結果に結びつかず、営業=辛い、苦しいと思っている人もいるかもしれません。

しかし、本来、営業は、辛い、苦しいものではありません。楽しいものです。

『営業が辛い、苦しいと思っている』人は、今の営業に何が求められていて、それゆえにどんな考え方やスキルが必要なのか理解していないだけなのです。同書では、トップセールンマンが何を実践しているのか、その基本を余すところなく伝えていますのでご参考ください。

事前準備とは

①普通のセールスマンとトップセールスマンの違い

あなたは、カーディーラーの営業マンとします。ある日、60代半ばぐらいと思われるシニア層のご夫婦が来店しました。彼らは真っ先にハイブリッドのコーナーに行き、機能や操作性について尋ねてきました。

普通セールスマンとトップセールスマンの対応をご覧ください。

普通セールスマンは、機能や操作性に聞かれたら、そのまま機能や操作性についてマシンガントークをしていますが、トップセールスマンは、お客様にとっての最終ゴールを明確にしていることがわかると思います。

②上記の接客と事前準備の関係

再び、下図をご覧ください。

この図は、クロージングするまでの営業の流れと、それぞれの場面で何をするのかがまとめられています。①〜⑤のの中で特に重要なのが、『①事前準備』と『③ヒアリング』です。売れない営業マンほど、事前準備とヒアリングが弱い結果も出ています。

ヒアリングは、お客様の課題やニーズを見つけるために、徹底的に話を聞く傾聴力が求められます。お客様がどんな問題を抱えていて、何を求めているのかを聞き出すのは、営業マンの重要なスキルの一つです。

しかし、実際にお客様の話を聞かない営業マンはすごく多いことがわかるアンケート結果があります。

上図は、お客様が営業担当者にどんな不満を抱いているのかをまとめたアンケートだが、「1位:購買プロセスを考慮しない」は、お客様事情も考えず、いきなり買わせようとする営業マンへの不満であり、「2位:ニーズに耳を傾けない」は、相手の話を聞かず、現状の課題や問題、不安などを聞いてくれない不満が見えてくる。要するに、お客様の立場に立たず、自分都合で一方的に商品を売ろうとしてくる営業マンが、まだまだ多く存在するということである。

③ヒアリングをするための事前準備

では、なぜヒアリングをするために事前準備が必要なのでしょうか。

それは、お客様の問題を、仮説を立てながら事前に準備をしておいた人ほど、お客様にヒアリングした時に、その仮説と照らし合わせながらどう対応すべきか瞬時に判断できるからです。

先ほどのカーディーラーにやってきたお客様の例に戻ってみると、初めてお会いするそのお客様自身のライフスタイルを事前に調べておくことはできませんが、車を買い替えたいと思っているお客様の“傾向”をあらかじめ掴んで体系化しておくことはできます。

・車に対して何を求めているのか?
→それは、燃費の良さなのか、広さなのか、小回りなのか

・なぜ今、車を買いたいと思っているのか、車を買ったら何がしたいのかなど

これらの情報は、過去の顧客データや日々ディーラーでお会いするお客様のお話からまとめることができるでしょう。さらに、これらのデータを年代別で整理してくることで、年齢によるライフスタイルの変化にも対応した提案ができるでしょうし、競合のカーディーラーの事情について把握しておくことも事前準備の一つです。

こうした事前情報による仮説をもとに、お客様のニーズをヒアリングして、最終的にどの商品をおすすめするか判断すれば良いのです。お客様自身が気づいていなかったニーズを引き出し、仮説と照らし合わせて整理して、「あなたが欲しいと思う商品・サービスはこれです」と提案する。

これが現代に求められているソリューション営業です。

トップセールスマンは、事前準備でシナリオを練っている

事前準備をせずに、お客様のところへ出向くと、どういう事が起こるのか比較してみましょう。おそらく、お客様のちょっとした“変化球”に対応できないことが出てきそうです。

事前準備でシナリオを練っているトップセールスマンと、シナリオを練っていない普通セールスマンの商談の違いを見てみましょう。

ご存知の通り、お客様との商談は、自分が思った通りに進むことの方が少ないですよね。上図を見てわかるように、売れる営業と売れない営業では、事前準備の違いが大きなポイントになりそうです。

まとめ

今回は、著書「営業は準備力」をベースにして、営業において準備をするしないによる影響をご紹介してきました。

改めてここでポイントを整理しておきます。

  • 営業のサボり症はなかなか抜け出せない
  • サボり症を抜け出すには、営業を楽しいと思うことが一番
  • 営業を楽しむためには、事前準備をしてお客様の「それが欲しかった」を引き出す
  • そのためには、『①事前準備』と『③ヒアリング』を大切にする
  • 事前準備とヒアリングによって、お客様にとっての最終ゴールを明確にしていく
  • 事前準備では、過去データの情報整理を行い、お客様ニーズの仮説をもてるようにする
  • ヒアリング時には、お客様の変化球に対応できるシナリオを数パターン持つ

準備をすることは大事とわかってはいるが、忙しいことを理由に準備不足になったり、準備をしなくてもある程度お客様と会話ができてくると、準備が疎かになってしまいますよね。

これから営業マンとして活躍されている方も、いま活躍されている方も、準備力を武器に、営業を楽しんでいきましょう。

それは今回はここまでにします。
ありがとうございました。



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