今回の記事では、著書「ブラックマーケティング〜賢い人でも、脳は簡単にだまされる〜」をご紹介したいと思います。
それでは早速内容にはいっていきます。
どんな悩みを持つ方におススメか?
タイトルにもある通りですが、マーケティング担当者におすすめです。その中でも特に、一般的なマーケティング基礎知識はついているが、マーケティングの各施策が有効とされている理由を知らない方におすすめです。本書は、脳科学を主観点に話が展開されていますので、心理学に興味がある方も楽しんで読めるのではないかと思います。
昨今のマーケティングは、心理学と並列で考えられることが増えてきていますが、本書は、脳科学をベースにマーケティングを説明しているので、新しい気づきが多くあります。また、消費者としての自分自身の消費行動を振り返ってみると、「あぁ、だからかぁ。」と納得する部分も多くありますので、勉強本としては勿論ですが、読みモノとしても面白いです。
この本を読んで得られること
人間の脳は、外部要因の影響を非常に受けやすいものだと言うことが理解できます。その影響を受ける外部要因がどういったモノかも紹介されていますので、勉強になると思います。
また、自分自身が良かれと思って実施していたマーケティング施策が、実は消費者のネガティブ心理を利用していたなどの事実もわかり、良いマーケティングと悪いマーケティングの違いを知ることができると思います。
私が読もうと思った理由・期待したこと
「脳科学を利用したマーケティング」という言葉を見て、人間の本能を刺激するマーケティングなので、消費者購買行動に非常に強い影響力をもったマーケティングが学べると思い、購読しました。また反面、消費者として、自分自身が悪徳マーケティングに騙されない方法を知ることにも期待しました。
本の概要・あらすじ
●中野信子
脳科学者、医学博士、認知科学者、東日本国際大学特任教授
2008年〜2010年まで、フランス国立研究所ニューロスピンに勤務
脳科学、認知科学の最先端の研究業績を一般向けにわかりやすく紹介すること、脳科学の視点から人間の日常を捉え直すユニークさに定評がある。
●鳥山正博
本の概要
この本は、「マーケティングが脳科学に出会うと何が起こるか」という点について、終始話がされています。今までマーケティングに関わってきた我々が学んできた事実を、脳科学で説明をしてくれています。
本書では、過去のマーケティング本が避けてきた、ブラックなマーケティングについて躊躇なく説明されていて、我々自身が誤った認識の元にマーケティングを実施しないこと、消費者として身を守ることに繋がる本だと思います。
本のあらすじ
【第1章から第3章】ヒトの思考や行動を左右する神経伝達物質を手掛かりに脳のメカニズムを検証
【第4章】操られやすい脳の脆弱さを明らかにする
【第5章】最新の遺伝子研究の知見と合わせて、脳の男女差や地域差、「国民性」に踏み込む
【終章】各章で提示した論考が「マーケティング」にどのような再考を迫るか解説
目次(一部紹介)
序章
「悪のマーケティング」はなぜはびこるのか 脳科学者から見たマーケティングへの疑問
ー欲しくて買ったものをツクァない不思議
ー脳科学はいかにして発展してきたか
ー希望が作った脳科学ブーム
ー大統領と家電の選び方は同じ!?
ー「ブランドと消費行動」としての政治
(以下省略)第1章
焦りをかき立て判断力を奪う商法にご用心 セロトニン×不安を煽るマーケティング
ー「幸せ」の源泉ーセロトニンの解説
ーセロトニンが不足するとー焦りや不安が思考力や判断力を奪う
ー”焦り”につけ込む商法ー「残り二点、お早めに」の効果
ープロスペクト理論ー得よりも損のほうがインパクトは大きい
ー「損」をチラつかせる商法ーポイントやマイルの真実
(以下省略)第2章
「ハマりたがる脳」を刺激する罠の数々 ドーパミン×依存させるマーケティング
ー脳のご褒美としての報酬系ー生理的欲求にも勝るドーパミン依存
ー快楽のしくみーリスクを伴う成果のほうが、快感が大きい
ー宝くじの期待値ー夢を売るマーケティング
ーギャンブルについてー負けても負けても期待がなくならない恐怖
ーハマるのはヒトだけではないーサルもハトも「スリル」を求める
(以下省略)第3章
理性を麻痺させ「欲しい」と思わせる仕掛け オキシトシン×愛情マーケティング
ー愛と癒しの物質、オキシトシンーオキシトシンの解説
ーオキシトシン商法ー愛は、理性を麻痺させる
ー日本は詐欺師天国ー詐欺がはびこる国の意外な特徴
ーSF商法とは何かー押し売りからマルチまで、犯罪ギリギリの商法の数々
ー無料プレゼント攻勢ー脳のブレーキむとき
(以下省略)第4章
五感を使って他者を操る方法とは 前頭葉機能×刷り込みマーケティング
ー気まぐれな脳ーマーケターを悩ませる「消費行動のムラ」
ー「賢い買い物」ができないときの脳の状態ー前頭葉機能の概説
ー購買行動を左右するストーリーー”人間らしさ”を悪用するビジネス
ー「塗り絵」手法ー怠惰な脳を「怠けさせてあげる」
ー「五感」を刺激して買い物モードへ誘導するープライミング(呼び水)効果
(以下省略)第5章
だまされやすさは遺伝子で決まる? 遺伝子に操られる脳
ー海外市場と日本市場の大きな差異ー国民性は文化か?
ーエピジェネティクスー塩基配列の変化を伴わない遺伝子の発現制御
ー遺伝子プールの構成比における日米の差ーマーケットへの影響
ー浮気遺伝子?ー南欧人の冒険心と情熱には遺伝的な背景がある?
ー「男脳」「女脳」は存在するかー男女別、年代別のマーケティングが意味をなさない時代
(以下省略)終章
「よい子のマーケティング」を脱し、サイエンスへ マーケティング学者が見た脳科学の可能性
ーマーケティングが脳科学に出会うと何が起こるか
ー各章の要点をマーケティング視点で再整理する
ーセグメンテーションとターゲティングへの提言
ードーパミンにより悪徳商法の優良顧客になる事例
ー狭すぎたマーケティングの範囲
(以下省略)
本書を一部だけ紹介(ブラックマーケティングの触り)
セロトニンの働きに乗じた不安・焦り
セロトニンというものが脳内で不足すると、焦りや不安を思考力や判断力を奪います。この状態の脳は、他社の意のままに操られたり、いつも簡単にだまされたりする危険が高くなってしまいます。
この焦りにつけこむ商法が、「期間限定」や「残り2点、お早めに」といった告知。いつでも手に入る商品が、いましか手に入らないかもしれない商品に変わり、「焦り」を感じた消費者は、買い求めるようになるのです。
損をしたくない
人間は、金額の値ではなく、周囲との比較で「損」か「得」かが決まります。3000円以上購入したら、「送料無料」というサービスがありますが、これは、「皆が送料無料の権利を使っているのに、自分だけ権利を行使できずに送料を払うのは、受け入れがたい損」であると考えるのです。
生理現象の不安を煽る
本人が気づいていない欠点を指摘して、不安を煽っていくマーケティングです。たとえば、体臭や薄毛などの生理的な現象はこの手法が使われることが多いです。生理現象を解決するための商品が、何度も何度もCMを流すのは、気になり始める効果を狙うのが理由の一つです。
小さな欠点でも、そこに「将来」の要素を加えると、「いまは大丈夫でも、放っておけば不幸な結果が待っているかもしれない」というストーリーを描くと消費者は動きます。「放っておいたら、お宅もこうなる危険がありますよ」と住人の不安を煽るやり方が一時期話題になりましたよね。
まとめ
今回の記事では、著書「ブラックマーケティング〜賢い人でも、脳は簡単にだまされる〜」についてお話してきました。本書の内容は、本の一部しかご紹介できず申し訳ありませんが、目次を見ていただくとお分かりいただけると思いますが、脳科学マーケティングを中野さんお得意の、日常生活に落とし込んだ例え話がされていますので、頭に入ってきやすい内容になっています。
本書を読んだ感想としては、これまでマーケティングを難しく考えすぎていたのかもしれないと気付きをもらいました。カスタマージャーニー、ペルソナ、STP、3C分析など、マーケテイング施策は多々ありますが、全ての本質のは人を動かすことにあり、その人が動くかどうかを決めているのは脳であるというシンプルな繋がりが私自身の中に出来上がりました。
なぜマーケティングの各施策がこれまで効果的とされてきたのかを理解することに参考になると思いますので、よろしければご参考ください。
それでは今回はここまでとさせていただきます。
今回の記事が、小さなことでも、何かあなたの人生のお役に立てましたら幸せです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。