今回の記事は、『新規事業におけるロードマップの書き方』と『ロードマップを書くことのメリット』についてご紹介していきます。
- ロードマップの書き方がわからない
- ロードマップは、なぜ書いた方が良いの?
- ロードマップにテンプレートはあるの?
このようなお悩みについて解決していきます。
ロードマップとは、あなたが実現したい『新規事業の最終ゴール』に向かうためのシナリオ(流れ)を表したものです。時間経過とともに、どのようにビジネスを展開・発展させていくかを可視化したもので、『新規事業の最終ゴール』に向かうための地図の役割を持っています。
新規事業はあなたが描いたロードマップにしたがって、仮説構築・検証・修正を繰り返していく、仮説検証のプロセスそのものです。
そのため、新規事業では、一歩ずつ大きな事業へと育てていくためのロードマップをあらかじめ描いておくがとても大切になります。
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新規事業でのロードマップの書き方とは?テンプレート例も公開
それでは、新規事業でのロードマップの書き方をご紹介していきます。
まず、最初にお伝えすると、ロードマップには正しい書き方はこうだ!というものは存在しません。
わたしも初めてロードマップを書くときに結構調べたのですが、色々な形が出てきて、「結局どうやって書けば良いんだ!」と悩みました。
書籍・セミナー・コンサル相談・ネット検索と色々としてきて、実際にロードマップを書いた結果、ロードマップに書いておいた方が良い共通項目がわかりました。
わたしが実際に使っているロードマップのテンプレートと、わたしが調べてわかりやすいと思ったロードマップの例をご紹介します。
ご参考にしてもらい、ぜひ「あなたのロードマップ」を作ってみてください。
実際に使っているロードマップテンプレート

こちらが私が実際に使っているテンプレートです。
このテンプレートで大切なのは①~⑥までの基本項目です。
この基本項目を考えて、書く事でロードマップ が出来上がります。
①目指すべき最終ゴール
この項目は、一番先に埋めるべき最も重要な項目です。
あなたが考えている『新規事業で実現したいゴール』です。
あなたの考えている新規事業を導入したお客様は、どんな課題から解放されて、どんな感情になるのかをイメージして書いてみてください。
きっと、ワクワクしてくると思います。
②年度テーマ
各年度のスローガンのようなものを書きます。
たとえば、
「●●業界での導入実績TOP3に入る年」
「△△サービスをリリースする年」
などです。
ここでは、①で書いた目指すべき最終ゴールに辿り着くための必要テーマを検討しましょう。
③ターゲット
あなたの新規事業のターゲットを書きましょう。
新規事業の場合、初めはターゲットを絞って実績を貯めていき、ノウハウや資金、組織体制が安定してきたら他業界へ展開するパターンが多いのではないかと思います。
ターゲットを広げていくタイミングを意識しておくことは大切ですので書いてみてください。
④取り組むアクション
②年度テーマで書いた年度テーマを達成するために、今年度に取り組むアクション(施策)を記載します。
書く項目を整理するのに、「ヒト、モノ、カネ、情報」の経営資源を基準にすると記入しやすくなると思います。
⑤構築する強み(コア・コンピタンス)
あなたが考えた新規事業アイデアに、競合がいないという可能性は極めて低いと思います。
そのため、ターゲット市場に後から参入するあなたは、先行して市場に参入している企業よりも、「おっ、こっちの方が良いじゃん!」と思ってもらう必要があります。
そう思ってもらうには、他社にはないターゲットにとってベネフィットになる価値が必要です。
その価値を作るのが、「競合を圧倒的に上回る能力、競合が真似できない核となる能力」である、コア・コンピタンスです。
コア・コンピタンスは、一朝一夕で完成はしません。
が、何をコア・コンピタンスとするのかを書くことで、関係者にもあなたの新規事業アイデアの「強みはここ!」と認識してもらえるので大切です。
⑥マーケティング計画
売上を上げるために実施する販売促進計画を記載します。
例えば、問い合わせを増やすためのWEB広告実施、展示会への出展などが当てはまります。
あなたの新規事業アイデアは、初めはあなたとあなたの関係者以外はまだ誰も知らない状態です。
ターゲットに喜んでもらえるあなたの商品・サービスが完成したことを、たくさんの人に知らせてあげる施策計画を書きましょう。
①~⑥の項目については、5年計画で書くようにしましょう。
なぜならば、新規事業の成功・失敗を判断する基準値に、『3年単黒(たんくろ)、5年累黒(るいくろ)』を達成できるかどうかというものがあります。
これは、当初は赤字は仕方ないが、3年目には単年度の業績が黒字になり、5年目には過去の累積損失を一掃できそうな新規事業アイデアかどうかを判断します。
少し古い考え方かもしれませんが、今でも良く使われている基準値です。
5年計画で考えておくと、経営陣もあなたの新規事業アイデアに対する投資判断がしやすいと思いますので5年計画で書いてみてください。
わかりやすいと思ったロードマップの例
①facebook

上記の画像は、「Industry Co-Creation(ICC)カンファレンス KYOTO 2017」のイベントでfacebook社が公開したロードマップです。
facebook社が本物のロードマップを公開することは考えにくいので、イベント用に作成したものではあると思いますがご覧ください。
イベントの中で、facebook社はこのように話しています。
このようにロードマップは、自分自身の頭を整理することと同時に、関係者にも考えを共有することができます。
チームメンバーであれば、自分がどこに向かっていけば良いのかが分かりますので、チーム力にもつながっていきます。
②株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

上記は、製品ロードマップも含まれていますが、世間動向と製品開発ロードマップが記されていて、市場ニーズも重ねてみれるため、分かりやすいですね。
③株式会社いつも.

著書『EC戦略ナビ ~成長市場の「いま」と「これから」がわかる!』の中で紹介されているロードマップです。
たて軸が売上高、横軸が時期になっていて、ビジュアル的にも非常に分かりやすいです。
参考としてご紹介してきましたが、ロードマップは、あなたとあなたのステークホルダーが理解できることがベストですので、上記を参考にしてみてください。
ロードマップの書き方 まとめ
ここまで長くなってしまったので、一旦ここまでのお話を整理します。
- ロードマップは、実現したい『新規事業の最終ゴール』に向かうためのシナリオ(流れ)を表したもの
- ロードマップには正しい書き方はこうだ!というものは存在しない
- ロードマップで書く項目
- 目指すべき最終ゴール
- 年度テーマ
- ターゲット
- 取り組むアクション
- 構築する強み(コア・コンピタンス)
- マーケティング計画
ここからの後半は、
「ロードマップには、どんなメリットがあるのか」
「ロードマップを書いた後、どのような使われ方がされるのか」
についてお話していきます。
ロードマップを書くメリット

実際にロードマップを書くメリットについてお話していきます。
①迷子になったら立ち戻れる
新規事業開発は、本当に忙しいです。
うまくいくかいかないか誰にも分からない初期段階では、企画・開発・営業・契約・導入まで、全て一人でやらないといけない時もあります。
営業をしながらでも、導入をしながらでも、新規事業を大きくしていくための施策を打っていかなければなりません。
激動の毎日を過ごしていると、ふと気がついた時に、自分がいま計画のどこにいるのか、何をすべきなのかを冷静に判断できなくなる時があります。
そんな時に、ロードマップを見て、いま何を優先すべきなのか、この先何をしていかなくてはならないのか、原点に立ち戻らせてくれるのがロードマップです。
ロードマップは、常に自分自身をコントロールしてくれる羅針盤になります。
②ステークホルダー(関係者)にあなたの思いを伝えられる
ロードマップは、あなたが考えていること、この先どうしていきたいのかをステークホルダーに伝える時に役立ちます。
たとえば、マイクロプロセッサーメーカーのインテル社は、自社製品を今後どのように進化させていこうと考えているかを、取引先のコンピューターメーカーに理解してもらうためにロードマップを書いています。
将来の方向性や製品リリース時期などを公表して、コンピューターメーカーのコントロールに役立てています。
チームで仕事をしたことがある人ならわかると思いますが、チームが目指すゴールがわからないと、自分がどうやってチームに貢献すれば良いのかわからないですし、モチベーションも上がらないですよね。
チームを動かしていくには、ロードマップ は必須ですし、全員が同じ方向を目指すチームは強いです。
③成功事例・失敗事例を学べる
ロードマップは、新規事業の分析にも役立ちます。
あなた自身の新規事業の分析もできますが、他社の新規事業の分析情報を、あなたの新規事業に活かすことができます。
新規事業の最終ゴールに向かって、どんなシナリオを作ったのか、そのシナリオをどのように実行して成功したのか・失敗したのかがロードマップから見えてきます。
いま計画に対してどこまで進んでいるのかを確認して、順調なのか、そうでないのかをみることができます。
もしうまくいっていないポイントがあれば、なぜうまくいっていないのかを考えることで、自身のビジネスに活かす事ができるのです。
ロードマップを書かないデメリット

次に、ロードマップを書かずに新規事業を進めていると、どんなことが発生するのか、以前わたしが立ち上げ支援をしていた企業を例に紹介します。
①周りから、行き当たりばったりに動いているように見られる
わたしが過去に支援した新規事業の失敗例でお話をします。
彼らには、「2年後には〇億円売上確保」「組織○人に拡大」「△△市場にも参入」など、やりたいことは持っていました。
しかし、ロードマップを書いていなかったので、彼らが目指す最終ゴールがなく、そのやりたいことを実施する理由が見えてこなかったのです。
何のためにその施策をやるのかが見えてこなかったのです。
彼らは、会社内で同時期に取り組んでいた他の新規事業よりも売上を上げていました。
彼らもその実績が自信になっていたのですが、経営陣からは、「あっちに行ったり、こっちに行ったりしていて、事業コンセプトが無く見える」や「どこを目指しているのかわからないから、事業としての将来性の判断がつかない」という辛口意見をもらっていました。
新規事業の場合、売上をあげることは勿論大事なことですが、初期段階では、その新規事業が将来、会社の利益に繋がるビジネスなのかを経営陣(投資家)に示すことが大切です。
ビジネスとしての将来性を経営陣に示すことができないと、新規事業をやっていく上で重要な、『投資』をしてもらえなくなってしまうので、事業継続が難しくなります。
これは当然のことですよね。
そのため、ロードマップで目指す『最終ゴール』を書いて、そのゴールに辿り着くための『シナリオ』を書き、経営陣に納得してもらう事が重要になりますので、ロードマップは絶対に書いた方が良いです。
②タスクの優先度を誤る
【①迷子になったら立ち戻る】でも書きましたが、新規事業は忙しいです。
業務量的な忙しさもありますが、『選択と決断』をしていくことが次から次へと舞い込んできます。
『選択と決断』することは色々とありますが、私が支援していた彼らは、とにかく売上を上げることを目指していたので、契約する時は、金額が高い案件、新しいサービスを考える時は、契約金額が高いものといった判断基準をもっていました。
売上をあげて資金を持つことは大切です。売上をあげながら、新規事業を創っていくことは理想です。
しかし、新規事業で重要なのは、最終ゴールに辿り着くために、何をやっていくかを選択していくことです。
ロードマップを書いておくと、『選択と決断』をするときに、優先すべき項目を『選択と決断』しやすくなります。
新規事業では、悩んでスピードを落としてしまうことで、競合が先行してしまい、それが致命傷になってしまう可能性があります。
『選択と決断』のスピードを上げていくためにも、ロードマップは絶対に書いた方が良いです。
③社内メンバー(部下)がついてこない
【ロードマップの使い方の例_②ステークホルダー(関係者)にあなたの思いを伝えられる】では、インテル社が関係企業に製品ロードマップを共有して思いを伝えているとお話しました.
私が支援していた新規事業では、事業立ち上げを一緒に取り組んでいく社内メンバーとの関係に問題がありました。
問題1:ロードマップがあることを把握していないメンバーがいる
問題2:ロードマップがあることは知っているが、内容を理解しておらず、興味も持っていない
問題3:最終ゴールが無いので、何のために自分は今の仕事をしているのかわかっていない
つまり、メンバーが同じベクトルを向いておらず、リーダーが一人で頑張っていて、誰もメンバーが付いてきていない状況だったのです。
リーダーは、「何でうちのメンバーはやる気がないんだ」と思っていて、メンバーは、「わたしはここで何をすれば良いんだろう」と思っていたのです。
これでは、ただでさえ初めてやることだらけの新規事業では、メンバーは動けないですよね。
きちんとロードマップを理解してくれていれば、メンバーも『選択と決断』をしてくれるようになり、自ら積極的に動いてくれるようになりますので、リーダーも楽になると思います。
こういった理由からも、事業運用を円滑にしていくためにも、ロードマップをしっかり書くことをオススメします。
まとめ
ここまで、ロードマップの書き方をご紹介をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
①迷子になったら立ち戻る
②関係者にあなたの思いを伝える
③成功事例・失敗事例を学ぶ
●ロードマップを書かないデメリット
①周りから行き当たりばったりに動いているように見られる
②タスクの優先度を誤る
③社内メンバー(部下)がついてこない
いきなりロードマップをうまく書ける方はいないと思いますので、何度か練習してみてください。
また、他社のロードマップなども参考にしてみてください。
それでは今回はここまでとさせていただきます。
今回の記事が、小さなことでも、何かあなたの人生のお役に立てましたら幸せです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。