今回の記事は、「新規事業に欠かせないマーケティング観点である”認知的不協和”」についてお話をしていきます。
認知的不協和とは、簡単に言ってしまうと、
購買後に感じる不安感
心の中にある矛盾を取り除こうとする作業
といった感じです。
今回お話しする認知的不協和が何かを知らないと、新規事業で最も大事な、ターゲットの課題を読み違えてしまう可能性があります。
そして、あとになって、新規事業のコンセプト自体を見直さなくてはいけなくなる可能性があります。
新規事業にあたえるインパクトは大きいですが、認知的不協和の意味は非常にシンプルです。
ぜひ最後まで記事を読んで、イノベーションを起こしましょう。
それでは内容に入っていきます。
認知的不協和とは?|新規事業に欠かせないマーケティング観点
アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーの例
認知的不協和理論について、信頼性を高める為に、少し論文を引っ張ってきました。
(参考:一橋大学機関リポジトリの「認知的不協和理論と消費者行動」)
ちょっと読みにくいなぁと思った方は、小見出し2つめにある「身近な例」をご覧ください。
アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーは、
2、不協和が存在しているときには、 それを低減しようと試みるだけでなく、さらに人は不協和を増大させると思われる状況や情報を、すすんで回避しようとするであろう
という基本仮説を出発点としていると書かれています。
さらに、 不協和の発生は、
1、 選択的決定の後
2、強制により不本意ながらある行動がとられた場合
3、新しい情報に接した場合
4、集団の流れにさからう場合
5、大きな出来事の起きた場合
の5つのケースがあげられるが、 消費者行動という分野において、一般に問題となり得るのは、そのうち1と3のケース。
なかでも、 これまでの研究は、 1、の決定後の不協和という問題に絞って取り扱われてきたとされています。
さらに、Ehrlichが1957年に行った不協和研究における基本パターンのような研究も紹介されています。
Ehrlichは、 乗用車の保有者について、 購買決定後、 不協和低減のためにいかなる情報に接するかという分析を、次の三つの仮説のもとに行なっています。
2、決定後、 人は不協和を増大する情報を避ける傾向がある 3、一般に決定後の不協和は時間の経過とともに低減する
したがって、 新車の保有者は、(a)考慮したけれども買わなかった車の広告や、 (b)選択の際に考慮に含まれなかった車の広告よりも、彼等の有している車の広告を読もうとする
したがって、 新車の保有者は考慮したけれども買わなかった車の広告を、 その他の車の広告よりもみようとしない
したがって、 中古車の保有者には広告の視聴に関する選択的傾向は存在しない
再認テストによる結果は、仮説1、3は、予期したとおりの結果が得られたとされています。
身近な例
●「健康第一と思う自分」と「お酒、揚げ物がやめられない自分」

●「楽しくお買い物する自分」と「自分の選択が正しかったのか迷う自分」



認知的不協和を知っていないと新規事業にどんな弊害が起こるか
ここまで、認知的不協和についてお話をしてきましたが、認知的不協和がどのようなものかお分かりになったでしょうか。
次に、この認知的不協和を理解していないと、新規事業において、どのような弊害が起こるかをお話します。
結論として、新規事業におけるビジネスアイデアの選択に影響します。
新規事業でビジネスアイデアを考えるとき、世の中に存在する“困り事”を見つけ、その困り事からビジネスアイデアを考えていきます。
その際に、認知的不協和を知らないと、間違った困り事を選択してしまうかもしれません。
たとえば、パソコンに関する困り事を知りたい場合、あるパソコンを購入したばかりの方にインタビューをしたとします。
「あなたはなぜそのパソコンを買ったのですか?」と聞かれ、『バッテリー時間が長かったからです。』
「他にどんなところが気に入っていますか?」と聞かれ、『タッチペンが使えるところです。』
こんな感じで質問に答えていくと、インタビュアーから、
「あなたの要望を聞いていると、こちらのパソコンの方が要望を満たしていると思いますが、なぜこちらを買わなかったのですか?」と言われました。
実は回答者は、パソコンを買った後に、そのパソコンの存在を知っていたのです。
こういった時に、認知的不協和が起こるのです。
回答者は、自分の選択がベストだと思いたいので、必死に自分が買ったパソコンの方が優れていることをインタビュアーに話します。
「見た目が好みじゃない」
「保証期間が違う」
「コールセンターの対応が良い」
など、大して気にしていなかった事を答えてしまうのです。
自分の選択が正しかった事を証明するために。
いかがでしょうか。
困り事を知るためのリサーチの結果がズレていってしまうことがお分かりでしょうか。
現在世の中で行われているリサーチは、こういったことが起こっている事を承知の上で、リサーチをしています。
そして、多くの企業が、「よし、パソコンを売るためには、保証期間を長くして、コールセンターの対応を良くしよう!」という結論になってしまうのです。
これでは困り事を知るとは言えないですよね。
認知的不協和を解消する方法
では、この状態をどうすれば良いのでしょうか。
最近注目されているのが、エスノグラフィ(行動観察)調査です。
出典:電通マクロミルインサイト
上記にあるように、このリサーチでは、消費者の潜在意識から生じる無意識的な言動を観察して、気付きを得ます。
そのため、先程のパソコンに関するインタビューのような、回答者の意識的な言動は排除できるため、真のニーズを知れるとされています。
新規事業のビジネスアイデアを抽出するには、非常に有効な手段ですので、ぜひ覚えておかれる事をおすすめします。
いますぐ何をすれば良いか?
エスノグラフィ調査について書かれている本をご紹介します。
新規事業や起業に興味のある方、ターゲットリサーチに悩んでいる方など、モノ溢れ時代の現代では、いかにターゲットニーズを掴み、共感していくかが今後は重要になります。
その中で、エスノグラフィ調査は必須になってきますので、一冊で良いので読んでおくことをおすすめします。
ここでご紹介する本は、わたしが以前参加した有料講座の中で紹介されていた本なので、多くのマーケターも認知しています。どの一冊でも大丈夫です。
まとめ
今回の記事は、「新規事業に欠かせないマーケティング観点である”認知的不協和”」についてお話をしてきました。
最後に整理すると、
・認知的不協和は、新規事業におけるビジネスアイデアの選択に影響する
・影響を与えないためには、エスノグラフィ(行動観察)調査で無意識情報を得る
・新記事業をやる以上、エスノグラフィ調査の勉強をする
それでは今回はここまでとさせていただきます。
今回の記事が、小さなことでも、何かあなたの人生のお役に立てましたら幸せです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。