新規事業の立ち上げが想定通りにいかない時の方法

今回の記事は、「新規事業がうまくいかない時の対処方法」についてお話ししていきます。

今回のお悩み
「問合せはあるが売上に結び付かない」

「当初想定していたターゲットが違うかもしれない」

「どこからどういった情報を抽出すれば良いかわからない」

こんなお悩みを解決していきます。

それでは内容に入っていきましょう!

目次

新規事業の立ち上げが想定通りにいかない時の方法

結論からお話しします。

ずばり、「仮説の立て直し」しかありません。

新規事業はアイデア検討中時点では、うまく行くか行かないかは誰にもわかりません。

わたしの経験上では、

新規事業は最初のアイデアがそのままうまく行くことの方が少なく、最初のアイデアを色々な形に変えていくことが殆どです。そうしないとうまく行かないケースが殆どです。

その状態でも、100のアイデアの内、うまくいくアイデアは1つあるかないかだと思います。なので、もしあなたがいまうまく行っていなかったとしても、落ち込まないで大丈夫です。

これからうまくいっていない時の「仮説の立て直し方法」について、具体的にお話ししていきます。

仮説を立て直すためには、“リサーチあるのみ”

そうなんです、仮説を立て直すためにはリサーチあるのみです。

しかし日本では、マーケティングが重要視されておらず、それ故にマーケティングの根幹であるリサーチも重要視されていないのが実情なんです。どうでしょうか。

リサーチって、ちょっと地味ですし、数学のように答えがパシッと出てくるわけでもなく仮説を求めるための情報収集なので終わりがありません。終わりのない作業って結構しんどいので、そういった部分も敬遠されている理由かもしれないですね。

話を戻すと、

新規事業の仮説を立て直すためのリサーチは「3C分析」を使うのが一番シンプルです。

まずは、3C分析についてお話をしていきます。

3C分析とは?

この3C分析を使ったリサーチプロセスをご紹介していきます。

アパレル業界を例に、リサーチのサンプルをご紹介していきますのでご参考ください。

 

Customer(顧客)

業界の課題を知る

新規事業のターゲット業界についてニーズや課題についてリサーチしていきます。

リサーチする観点は、

観点例
・その業界が抱えている現状課題

・その課題を現状どのように解決しているのか

・その業界の未来像

などです。

ここでは、業界全体の課題抽出することに取り組んでいきましょう。

 

リサーチサンプル(※アパレル業界対象例)

【業界が抱えている現状課題】

考察
・業界規模、伸び率、収益性は増加傾向であること

・2011年から変化があり業界規模が上昇傾向になっていること

・ファーストリテイリングが業界を牽引していること

・ECサイト、海外での販売強化がキーになること

・ヒット商品がうまれていないこと

 

Competitor(競合)

競合の比較

競合が未だ満たせていない顧客の不満を見つけ出すリサーチをしていきます。

リサーチする観点は、

観点例
・同一カテゴリーのライバルである「直接競合」はどこか?

・顧客のニーズを満たす「代替品・新サービス」はどこか?

・競合が提供しているサービスはどのようなものか?

・競合が自社を選択してもらうために訴求している付加価値はなにか?

などです。

 

現代では、あなたの新規事業にとって、競合がいないという事は殆どないと言えます。

そのためあなたのサービスは、いま世の中にあるサービスと必ず比較されます。

比較された時に、顧客があなたの製品を選ぶ理由を作ってあげる必要があります。

それが、未だ満たせていない課題なのです。

 

しかし、

競合比較をきちんとリサーチしている新規事業はとても少ないのが私の経験上の印象です。

なぜリサーチをしている新規事業が少ないかと言うと、情報が集まりにくいからです。

 

考えてみれば、

あなたの新規事業も、競合相手に出来るだけ情報は渡したくないと思います。

競合企業も当然同じ考えをしていますので、情報があまり取れないのです。

情報が集まらないリサーチは時間がかかりますし面白くないので、どの新規事業担当者もあまりやっていないと言うのが現状なのです。

そのため、リサーチをきちんと行うだけでも競合企業と差をつけることができます。

 

ここでは、比較的情報が取りやすく短時間でできるリサーチ方法をご紹介します。

その方法は、サービス比較です。

サービス比較して、現状世の中にあるサービスが満たせていない「穴」を見つけます。

「穴」とは、あなたの新規事業が事業拡大のために狙っていくポジショニングのことです。

 

リサーチサンプル(※アパレル業界対象例)

【同一カテゴリーのライバルである「直接競合」はどこか?】

・ファッションテックと言われる企業が多く出てきている

・自身が取り組んでいるカテゴリーでは、●●と▲▲が直接競合である

・●●のサービス特徴はXXXXX、▲▲のサービス特徴はXXXXXである

・アパレル企業の課題はXXXXXなので、●●のサービスでは★★の課題を満たせていない

 

Company(自社)

自社の分析

自社の強み・弱みを明確にするためのリサーチをしていきます。

リサーチする観点は、

観点例
・営業、マーケティング活動における強み、弱みはなにか?

・自社が培ってきたコア・コンピタンスはなにか?

・自社の改善すべきポイントはどこか?

などです。

 

自社分析は、他のリサーチより割と取り組みやすいと思います。

なぜなら、あなた自身も肌感覚で会社の強み・弱みを感じている部分があるからです。

新規事業では自社のコア・コンピタンスを主軸にすると、事業発展する傾向があります。

理由は、

・コア・コンピタンスにおいて既に競合と比較した際に有意になる

・コア・コンピタンスは長年培ってきたものが多いため参入障壁が高くなる

などが考えらます。

 

ただ自社分析を行う際に、注意したいことがあります。

自社分析は情報が集まりやすいので、ついリサーチに時間をかけてしまうことがあります。

その結果、自社分析のリサーチ割合が高くなり、偏ったリサーチになってしまいます。

どんなにリサーチが楽だったとしても、「顧客(customer)、競合(competitor)、自社(company)」のリサーチバランスは均等に行いましょう。

 

リサーチサンプル(※アパレル業界対象例)

【自社が培ってきたコア・コンピタンスはなにか?】

・自社ブランドの知名度の高さを活用できる

・自社のコアコンピタンスは●●(例:金融領域におけるシステム開発など)である

・情報発信力が弱かったため、自社・他社と連携して高めていく

 

前半まとめ|勝つポジショニングを抽出

少し長くなってしまったので、ここまでご紹介してきたことを一度まとめます。

前半まとめ
・新規事業が想定通りにいかない時は、新規事業の仮説を立て直すことが必要

・立て直すためにはリサーチが必須で、数あるリサーチ手法の中でも3C分析が最適

・3C分析
 ーCustomer(顧客):ターゲット業界についてのニーズや課題を見つける
 ーCompetitor(競合):競合企業が未だ満たせていない顧客の不満を見つける
 ーCompany(自社):自社の強み・弱みを明確にする

こういったことをご紹介してきました。

 

では、結局この3C分析では何を導き出すのでしょうか。

それは、あなたがターゲット市場の中で、どこで勝つのかポジショニングを見つけます。

 

3つのC(Customer、Competitor、Company)をバラバラに考えるのではなく、顧客のニーズと課題と競合企業の強みや戦略を抽出し、競合企業が手を出していない、手を出せない「穴」を模索していくのです。

 

ここからの後半は、

後半
「リサーチ方法は分かったけど、どういった情報を抽出すれば良いの?」

「リサーチをしたあとは何をすれば良いの?」

というお悩みについてお話をしていきます。

 

リサーチはどこから情報を抽出すれば良いの?

このご相談は良くいただくのでご紹介します。

仮説を立て直す段階では、

リサーチ情報源
①Google

②書籍

で充分です。

 

①Google

Googleで検索すると様々な情報がありますが、「誰が書いてあるか」を意識して情報抽出しましょう。たとえば知りたかった情報が見つかったとしても、その情報を書いた人が、全く専門外の人だったら、その情報の確からしさを疑いましょう。

Googleで情報を選択する基準は、

情報選定基準
・情報発信者は専門性の高い人か

・データをもって説明がされているか

・情報発信時期は最近のものか

です。ここを意識して情報を集めれば大丈夫です。

 

②書籍

書籍は、知りたいことが書かれている書籍を3冊購入して、その3冊に書かれている共通項を抽出すれば大丈夫です。

書籍を書くほどの専門家が、同じことを言っていれば、それが現状では確からしさの高い情報だからです。

あなたが読みやすいなと思う本が一番ですので、試してみてください。

 

情報収集のためのおすすめWEBサイト

わたしがリサーチを行う時に利用しているWEBサイトをご紹介します。

 

①無料のWEBサイト

今回の記事中の「サンプルリサーチ」でご紹介している情報は、「業界動向サーチ」というサイトを使っています。有価証券報告書に基いた情報掲載がされていて、ざっと短時間で業界全体感を知りたい時に有効だと思います。

 

②有料のWEBサイト

もしあなたが調査にお金をかけることができる場合は、NewsPicksで有名なユーザーベース社が提供している「SPEEDA」が絶対的におすすめです。

WEBサイト上では、「7日間かかる業界分析を、たった1時間に短縮するソリューション」と訴求しているだけあってかなり便利です。

下の画像にあるように、かなり広い範囲の情報が蓄積されたサービスです。

こういったツールを活用して作業を効率的に行い、リサーチで見つけた情報を複合的に見て、最後はあなた自身で決断していきましょう。

 

リサーチをしたあとは何をすれば良いのか?

それは、新しく立て直した仮説ビジネスモデルの検証です。

ここからは、3C分析で導き出した仮説があっているのか検証していくステージに入ります。

仮説ビジネスモデルを検証していく方法は色々あるのですが、今回の記事のテーマは「リサーチ」なので、仮説検証するためのリサーチ方法をご紹介します。

 

①定量調査

定量調査は、「市場実態を把握する」ことと「仮説を検証する」ことを目的としています。

3C分析で抽出した、「こうすれば価値を提供できるだろう」、「こうすれば価値が伝わるだろう」という仮説を、定量調査によって、実際にターゲットに受け入れられるのか、どのような点を改善すれば良いのかなどについて、チェックしていくイメージです。

最近では、「コストが安い」こと「分析が早い」ことから、インターネット調査が行われていることが多いです。今回のパターンでも、予算を掛けた調査ができる場合はインターネット調査で充分です。

インターネット調査専門会社にアンケートモニターとして登録している消費者に対して、仮説を検証するための質問を行います。アンケート後は、インターネット調査専門会社がレポートとしてまとめてくれますので、そのレポートを見て仮説とのマッチ度を確認します。

 

②定性調査

もう一つの方法は、ターゲット顧客に「きく」方法です。

定性にも色々な手法があるのですが、今回は2つの方法に絞ってご紹介します。

 

尋ねる|インタビュー

知りたい情報を持っている人に質問をして答えてもらう方法です。

インタビューには1対1のデプスインタビューと、複数人のグループになって話をしてもらうグループインタビューとありますが、今回の場合は、デプスインタビューで大丈夫です。

もし既にターゲット顧客とのお付き合いがあなたにある場合は、デプスインタビューを行うことで良いと思います。

 

観察する|エスノグラフィー

実際に商品を使ったり、買い物をしている様子を観察させてもらう方法になります。

この方法は、インタビューの課題である「記憶の曖昧さ」をクリアすることができます。

観察対象に観察していることを意識させずに、無意識な行動を観察することに努めます。

「百聞は一見にしかず」です。

このような調査方法を使い、立て直した仮説ビジネスモデルの検証を行っていきましょう。

 

いますぐ何をすれば良いのか?

新規事業が想定通りにいっていないならば、2つのことから始めていきましょう。

 

①過去に書いた新規事業のロードマップを見直す

新規事業立ち上げの際に、どのように新規事業を進めていくか、ロードマップを書いたと思います。そのロードマップと比較して、いまの状態が計画とどのぐらい乖離しているのかを見てください。

その上で、今回ご紹介したリサーチを行うことで、目的をもったリサーチができると思います。ロードマップと比較することで、何を知るためにリサーチをしなくてはいけないのかを明確にしましょう。

もしあなたがロードマップを書いていないという方は、こちらの記事をご参考ください。ロードマップを持っていない新規事業は、『海図を持たずに航海に出る』ようなもので、超危険ですので、ご一読されることをおすすめいたします。

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②改めて新規事業について学ぶ

私も何度も新規事業が想定通りにいかない状況にぶつかってきました。

考えてみると、ほとんどの新規事業は壁にぶつかります。

その度に、有識者からの情報をインプットするために書籍を購入してきました。

その中で本当に現場に役立つと思った本をこちらにまとめていますのでご参考ください。

インプットが多ければ多いほど、壁にぶつかったときの対処がスピーディーに行えます。

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まとめ

今回の記事は、「新規事業がうまくいかない時の対処方法」についてお話ししてきました。

最後に、今回の記事をまとめます。

全体まとめ
・新規事業が想定通りにいかない時は、新規事業の仮説を立て直すことが必要

・立て直すためにはリサーチが必須で、数あるリサーチ手法の中でも3C分析が最適

・3C分析とは?
 ーCustomer(顧客):ターゲット業界についてのニーズや課題を見つける
 ーCompetitor(競合):競合企業が未だ満たせていない顧客の不満を見つける
 ーCompany(自社):自社の強み・弱みを明確にする

・リサーチはどこから情報を抽出すれば良いの?
 ①Google
  Googleで情報を選択する基準は、
  ー情報発信者は専門性の高い人か
  ーデータをもって説明がされているか
  ー情報発信時期は最近のものか

 ②書籍
  書籍を3冊購入し、その3冊に書かれている共通項を抽出する

・情報収集のためのおすすめWEBサイト
 ①無料のWEBサイト:業界動向サーチ
 ②有料のWEBサイト:SPEEDA

・リサーチをしたあとは何をすれば良いのか?
 ①定量調査:インターネット調査でOK
 ②定性調査:顧客への1対1インタビューでOK

・いますぐ何をすれば良いのか?
 ①過去に書いた新規事業のロードマップを見直す
 ②改めて新規事業について学ぶ

こういったことをご紹介してきました。

 

新規事業は正解が誰もわからない、本当に不明確なことが多い仕事です。

ぜひ今回の情報が、あなたの苦労を少しでも和らげることに役立てば嬉しいです。

それでは今回はここまでとさせていただきます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。



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