成熟社会のビジネスシフト 10年後も会社が続くために|書評

今回の記事では、著書「成熟社会のビジネスシフト〜10年後も会社が続くために〜」をご紹介します。

目次

「成熟社会のビジネスシフト」は、どんな本なのか?

この本は、amazonや書店ランキングで一位を取った本で、著者の並木将央氏は、株式会社ロードフロンティアの代表取締役社長で、

「The Japan Times」の「次世代を担う100人のCEO アジア2014」に選出されるような優秀な方で、メディアにも度々出演されています。

「次世代を担う100人のCEO アジア2014」に選出されたときに、日本人として他に選ばれた方は、テンプスタッフやスターバックス、ジャパネットたかたの代表も選出されており、

選出された中では最年少だったそうです。

そんな方が、「モノが溢れ、困りごとを持っていない成熟社会」のなかで、我々がどのようにして生き残って行けば良いかをまとめてくれているのが本書です。

本書の結論

本書がどんな本なのか結論から言うと、「モノが溢れ、困りごとを持っていない成熟社会」を生き残っていくには、これまでの先入観と習慣を捨て、消費者と共感してイノベーション創造に取り組むことが必要であるということです。

この本を読んで得られること

本書では、1945年の終戦後、モノが無く、国策として取り組んできた人口増加時代=”成長社会”から、2008年をピークに人口減少し、モノに溢れ、誰も困っていない、

誰もがそこそこ満足している成熟社会になるまで書かれており、現代社会が出来上がってきた成り立ちまで理解することができます。

どんな悩みを持つ方におススメか?

・経営者
・新規事業や新商品の企画担当者
・新しい発想を求められるシステムエンジニア
・顧客に新しい提案を求められている営業

など、現代の成熟社会で既存ビジネスが通用しなくなり、新しいビジネス発想を求められている方におすすめです。そう考えると、ビジネスに関わっている全てのビジネスマンにオススメしたい本です。

本の目次

本書の目次を一部(各章上位3項目まで)ご紹介します。全ての目次はamazonの「なか見!検索」機能で紹介されていますので、ご覧になりたい方はこちらからご覧ください。

第1章 すでに過ぎた転換点(成長社会から成熟社会への変化について書かれています)
 ・必要なものが明確だった成長社会
・成熟社会では誰も困っていない

 ・消費者のニーズは測れない
(以下省略)
第2章 イノベーションが生まれる場所(イノベーションの生み出し方について)

・人々の共感を得るために
・消費者は答えを持っていない
・やわらかいイノベーション
第3章 成熟社会型ビジネスモデル(ビジネスモデルとその変遷について)
・ビジネスモデルを着替える
・ビジネスの正解は誰にもわからない
・迅速な行動がリスクを下げる
第4章 マーケティングの常識が変わる(成熟社会におけるマーケティングについて)
・マーケティングの本質とは
・マーケティングの変遷
・共感という磁力で顧客を惹き付ける
第5章 企業・顧客・社員の新しい関係性(企業・顧客・社員の関係性の変化について)
・企業が大事にすべきは顧客より社員
・ビジョン経営が会社を強くする
・進捗管理から感情管理へ
第6章 リーダー・マネージャーの役割(リーダーシップとマネジメントについて)
・成熟社会の社員の役割
・成熟社会の管理職の役割
・リーダーとマネージャー
第7章 財務・予算の目的は(財務と予算について)
・ビジョンと財務の一体化
・成熟社会のお金の基本
・何に投資をするか
第8章 すべての歯車をかみ合わせるために(第1章〜第7章を統合する方法について)
・ものの見方を変える
・ビジョンの描き方
・ビジネスメイキング

本著のポイントを3つご紹介

その1:情報が溢れかえっている現代で記憶に残る情報は共感情報のみ

「モノに溢れ、誰も困っていない、誰もがそこそこ満足している成熟社会」の中に、消費者のニーズはどこにあるのか。

インターネットが発達し、スマホが普及した成熟社会では、あまりにも情報が多く、処理しきれなくなっています。

朝起きてから寝るまでに、PCスマホ、電車広告や街のポスターなど、ありとあらゆるところから情報が入ってきます。

いきなりですが、ここで一つ質問です。

あなたが今日見た広告の中で、思い出すことのできる広告は幾つあるでしょうか?

いかがでしょうか。
おそらく思い出すことのできる広告は少ないと思います。

私たちは、多くの情報が目の前に現れた時、自分にとって意味あるものと意味のないものを無意識に分別しているのです。

その中で、記憶される情報はどういったものなのか。それは、その情報に”共感”したときだけなのです。

人は新しいモノが好きだが、ある一定の満足感を得てしまうと、それ以上のモノを特に欲しいと思わなくなる。成熟社会では、この現実が大きな課題となっている。新しいものが好きで興味があるが、お金を払ってまで手に入れたいとは思わない。なぜなら今の状態で困っていないから。

この状態で消費者が反応するモノが”共感”したモノなのです。

また本書では、成長社会と成熟社会の違いを示した比較表が紹介されています。

この表を見ることで、これまでのビジネスへの考え方が現代の成熟社会に適しておらず、過去の成長社会に適した考え方で取り組んでいたことが理解できます。

比較項目を一部紹介すると、
「人の思考」「ワークライフ」「職場環境」「売り方」「マーケティング」「人材マネジメント」
など、18項目に分類された考え方があります。

例えば「人の思考」では、
成長社会:モノの豊かさ=幸せ

成熟社会:○○○=幸せの方程式がなく、幸せの形が多様化している

成長社会:「みんな一緒」が心地よい

成熟社会:「みんな別々」が心地よい

「売り方」では、
消費者にいかに売るかという「セールス」が中心

消費者に買いたいと思わせる「マーケティング」が中心

このように、成長社会と成熟社会を比較することで、自分自身の考え方を整理することは勿論ですが、所属している会社の経営方針と比較してみると、会社として目指している方向性を確認することができます。

または、転職を考えている方は、これからの時代にあった経営方針を持っている会社を選定することもできると思います。

その2:イノベーションの生み出し方

新商品や新サービス、新事業などを考えるとき、ターゲット消費者のニーズを知るために、アンケート調査を実施する企業は多いと思います。

まだまだアンケート調査がニーズ調査には一般的です。しかし本書では、成熟社会においては、アンケートによる調査方法は間違えであると言っています。

なぜならば、成熟社会の消費者は、「自分が何を欲しているのかわからない」「自分の中に答えを持っていない」ことが多いからです。

これは、現代の購買行動を考えてみると分かってきますが、消費者がアンケートに書くほどのニーズを既に持っているとしたら、既にスマホで自分が求めるものに近いものや代替品を見つけているはずです。

アンケートでは消費者は自分が本当に困っていることを書くことはできないので、本当のニーズを見つけることはできないのです。

では、成熟社会でイノベーションを生み出すには、どうしていけば良いのか?

それは、「消費者と共にニーズを作っていく方法」か「個人に刷り込まれた先入観を壊すモノやサービスを作り出す方法」が必要です。

売り手も買い手もニーズがわからない状態を一緒に解決していくのが、成熟社会でイノベーションを生み出す方法なのです。

詳細は本書をご覧いただいた方が良いと思いますので、具体的な内容は控えますが、イノベーションのタネを見つけるには、消費者の普段の当たり前の行動をよく観察することです。

人間は、答えは持っていないが、潜在的に困りごとはあるため、普段の行動をよく観察することで、潜在ニーズを顕在化することが有効なのです。

イノベーションのタネのヒントワードは、「不合理な周期性」です。

その3:成熟社会におけるマーケティング

成熟社会におけるマーケティングでは、いかにして消費者のマインドシェアを獲得できるかがキーになります。

マインドシェアの獲得とは、消費者の頭の中にどれだけの自社の商品・サービスの情報や記憶が占められているかということです。

「頭痛になった飲む薬は?」「ファーストフードと言えば?」など、質問された時に、パッと思い出されるブランドが、その消費者にとってのマインドシェアNo.1です。

このマインドシェアを獲得するためには、消費者の記憶に残す必要があるのですが、記憶に残すためには、五感を通して感情を味わってもらう必要があります。

昨今では、この五感を刺激するマーケティング手法で効果を出している事例も増えてきています。こうした手法を使い、ブランディング形成をしていくことで、マインドシェアを獲得していく必要があるということです。

いますぐ何をすれば良いのか?

まずは、この本を一読されることをオススメします。

本書では、サラリーマンで新規事業企画を担当されている方、マーケティングや営業の方は、本書を読むと、「あるある、その言う状況」といった共感ポイントが多々あると思います。

そして、この本を会社の経営陣に読ませたいと思われると思います。私は思いました。

たとえば、「イノベーションを阻害するのは、成長社会を生きてきた上司である」など、上層部に伝わらないんだよなーと悩まれている方も多いかと思います。

上司に伝わらないのは、成長社会を生きて培った先入観が邪魔をしているので、その先入観を壊すためにも、本書に書かれていることを上層部へ伝えていくことで、新しい道が生まれるかもしれません。

本書の終わりにも書かれていましたが、この本を上司の机にそっと置いてみたいと思います。成長社会と成熟社会では、新規事業のやり方が異なることを理解してもらい、時代にあった手法を実践していきたいと私は思います。

まとめ

今回の記事では、著書「成熟社会のビジネスシフト〜10年後も会社が続くために〜」をご紹介してきました。

ご紹介した3つのポイント以外に、本書では、イノベーションのタネを見つけてからビジネス化していくまでの組織体制(リーダー・マネージャー)や財務・予算観点まで書かれており、

新規事業を行なっていく上での、教科書的な役割として、常に側に置いておきたい一冊ではないかと思います。

それでは今回はここまでとさせていただきます。

今回の記事が、小さなことでも、何かあなたの人生のお役に立てましたら幸せです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。



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