数百人の前でのプレゼン、大事な商談でのプレゼンなど、ビジネスにおいて、胸がギュッと締め付けられるような緊張のプレゼンって、どうしてもありますよね。
今回の記事は、「プレゼンで緊張しないのは無理だけど、緊張とうまく付き合う方法」はありますので、その方法についてお話をしていきます。
ぜひ最後まで読んでいただき、緊張を無理矢理押し殺さず、緊張とうまく付き合っていく方法を手に入れて、プレゼンで成果をあげるのにお役立てください。
それでは内容に入っていきます。
緊張のメカニズム
緊張って、心臓はドキドキして何だか呼吸しづらいし、変なところから汗でてくるし、何回もトイレに行きたくなりますし、嫌なものですよね。
避けられるなら避けたいですけど、中々そうも行かず、あなたも緊張と戦いながら日々を過ごされていると思います。
しかし、そもそも我々人間は、なぜ緊張してしまうのでしょうか。人が緊張するメカニズムはこのようになっているそうです。
「人の防衛本能について」
緊張すると筋肉が硬くなる、呼吸が速くなる、血流が早くなるなどの体の反応は、人間が生まれながらに持っている防衛本能というものです。
人は危険な動物に襲われそうになると、命の危険を察知し、戦う・逃走するという行動の準備をします。これは、人が危険から身を守るために本能的に備わっている反応です。戦う・逃走するために、筋肉が硬くなり、呼吸と血流が早くなるのです。防衛本能とは、大事なときに自分を守り生き延びるための体と心の知恵です。このように緊張するのは、人の防衛本能が機能している証拠であり、この防衛本能をコントロールしているのが自律神経と言われるものです。「防衛本能をコントロールしている自律神経とは」
自律神経とは交感神経と副交感神経の2つからなり、私たちの意思とは関係なく働いています。私たちがひどい緊張感や不安におそわれた時、交感神経が刺激されて覚醒や興奮に関係している神経伝達物質が盛んに分泌されます。その結果、心拍数が急上昇し、動悸や発汗、震えなどが起こります。このように交感神経が興奮すると集中力が高まり、身体能力を上げることに繋がっていきます。そのため、スポーツやプレゼンなどで良い成果を出そうとすると、ある程度の緊張が必要になってくるのです。「あがり症につながる自律神経の乱れ」
ところが、交感神経が過度に興奮し、神経伝達物質が過剰に分泌されてしまうと自律神経のバランスが崩れてしまいます。そうすると、体の震えが止まらなくなり、どもりや赤面症、多汗症といった反応が出てきてしまいます。それが、ひどいあがりの症状につながっていきます。私たちがあがりの症状を克服するために、腹式呼吸をする、冷たいタオルで首を冷やす、あがり症に効くツボを押すなどの行為は、乱れた自律神経を正常に戻すための改善方法なのです。このように、自律神経は私たちの意思とは無関係に働いているので、あがらないことに意識を集中しても無駄になってしまいます。あがらないことだけに意識が集中すると、逆にあがりの症状が激しくなってしまいます。ちょっとした小さなミスが、大きなあがりを呼び込み、どんどんあがってしまうという悪循環に陥ってしまいます。出典:東京話し方教室「人前で緊張する心と体のメカニズムを理解し、あがり症を克服」
緊張は悪い面も良い面もある
このように、緊張は、
・防衛本能をコントロールしている自律神経は、(交感神経、副交感神経)人間の意思とは関係なく働く
・あがらないようにと意識が集中すると、逆にあがりの症状が激しくなり、ちょっとしたミスが、大きなあがりを呼び込み、どんどんあがってしまうという悪循環に陥る
とあるように、人間である以上、緊張は、起こってしまう現象であり、無理矢理押さえない方が良いのです。
しかし、緊張について、このようにも書かれています。
・スポーツやプレゼンで良い成果を出そうとすると、ある程度の緊張が必要になってくる
つまり、仕事でパフォーマンスを出すのに、ある程度の緊張は悪い現象ではなく、良い現象なのです。人間の本能機能を受け入れ、緊張とうまく付き合っていくことが、我々人間にとっては良いということを理解していきましょう。
いますぐ何をすれば良いか?
- まずは、緊張は抑えるものではなく、付き合っていくものと理解します。
- 次に、緊張を起こしているイベントに向けて自信がつくまで準備をしましょう。
この2つ目について、お話をさせてもらいエピソードがあります。
海外ビジネスマンはハングリー
私は外資企業にいるとき、海外ビジネスマンが準備のために使う時間の使い方に大変驚きました。以前、グローバルの営業責任者が、日本の大手企業に対してプレゼンを行うことがありました。この日本企業へ導入できれば、かなりのインパクトがあり、絶対に契約したい企業でした。
彼は全世界の営業のトップなので、かなり多忙な人だったので、プレゼン前日に日本に入って、プレゼン当日の午前中に最終打合せを我々と行い、そして、午後のプレゼンに臨むのだろうと思っていました。なぜなら、電話やWEBで何度かミーティングを行っていて、プレゼンする日本企業の会社概要や課題、提案ポイントの擦り合わせも行っていたので、そのスケジュールでも十分だろうと思っていました。
しかし、彼が来日したのは、プレゼン日の1週間前でした。
もちろん、その企業だけのために一週間前に入った訳ではないのですが、彼は来日したその日から、毎晩のようにプレゼンの練習を始めたのです。日中は私や他の営業に同行して、日本人の商習慣を学んで、学んだ事をプレゼン資料に反映して改良する。そして、また練習をするのです。
我々日本スタッフにプレゼンを聞かせ、改善点を出させ、それをまた資料に反映して、我々が帰ったあとでも、夜中にメールが飛んできて、資料を修正したから見てくれと連絡をしてくるのです。私は、本当に驚きました。
海外ビジネスマン全員が、そうではないかもしれませんが、私がいた外資企業の海外ビジネスマンは、こういったタイプが多かったと思います。それまで私は、失礼ながら、普段の海外ビジネスマン達の、陽気な姿を見ていたら、感覚的と言いますか、感情を大事にする商談を行うのかと思っていたのですが、非常に緻密で、ロジカルで、石橋を叩いて渡るような慎重さを持っていて、もう十分でしょ!と思うぐらい準備をして、ビジネスをしているのだと思い知らされました。
なぜそんなに準備をするの?
私は、営業責任者の彼に、プレゼンが終わった日の食事の際に、「なんでそんなに準備をするのか?あなたなら何度も何度もプレゼンをしてきているだろうから、問題ないでしょ?」と質問をしてみたのです。
彼は、こう言いました。
「確かに私は、この会社が出来た当初から、今まで何百回もプレゼンをしてきた。でも今日のクライアントにプレゼンをするのは初めてだった。だから、今までと同じプレゼンを繰り返したところで、今日のクライアントに向けたプレゼンではない。そんなの面白くないだろう。それに、僕は臆病だから、失敗が怖いんだ。失敗を考えると緊張してしまう。だから僕は練習をするんだ。練習をすればするほど、緊張とうまく付き合えるようになるから。」
と言うのです。私は、この人はなんて格好良い人なんだと思いました。自分の性格をわかっていて、どうすれば自分がベストパフォーマンスを出せるのか、分かっているんだなと思いました。
まとめ
今回の記事は、「プレゼンで緊張しないのは無理だけど、緊張とうまく付き合う方法」についてお話をしてきました。
我々人間は、本能である緊張することを押さえることは出来ず、それを受け入れた上で、緊張とうまく付き合っていく必要があるということをお話いたしました。緊張とうまく付き合うには、自分が納得するまで、練習と準備を繰り返すということです。
巷には、「首を冷やす」とか「手のツボを押す」などの一時的な緊張をほぐす方法も紹介されています。これはこれで、とても大事なことだと思いますが、それは、当日までに、これ以上ないと言うぐらい準備をしてきた後にやると、より効果的だと思います。
これからも何度も、乗り越えなくてはならない緊張の壁があなたにも押し寄せてくると思いますが、私も準備と練習を繰り返して、乗り越えていきたいと思いますので、一緒に頑張れたら嬉しいです。
それでは今回はここまでとします。
今回の記事が、小さなことでも、何かあなたの人生のお役に立てましたら幸いです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。