前回、人間関係を解決する『聴く力』についてご紹介しました。特に、職場やお客様と“会話が弾まない”と悩んでいる方に、コーチング技術の『傾聴』を活用し活用術をお届けしました。
今回は、更に相手との人間関係を深いものにしていくためのコーチング技術である『質問力』についてご紹介します。前回の記事と同じように、会話が弾まないとお悩みのあなた、傾聴をした相手の言葉の中には、会話が弾むヒントがたくさんあります。
会話をする前の「何を話そうかな」と考える必要はないのです。相手が話をしたいネタは、相手の中にあります。そのネタについてあなたは質問するだけで、相手はあなたと会話をすることが楽しくなり、自然と会話はどんどん弾んでいきます。
それでは、『質問力』について説明していきます。
質問のメリット
質問には色々な質問があります。
- あなたの好奇心を満たすための質問
- 相手の意思を確認する方法
- 事実を確かめる質問
私は、この中の『相手の意思を確認する質問』が特に苦手でした。その中で、営業として接待をしている時、セミナーなどの後に行う立食の懇親会が苦手で、あまり信頼関係を構築できていない方達との時間が本当に苦手でした。
苦手だった理由は、
「何を話せば相手が楽しんでくれるんだろう」
「何を話せば私を面白いと思ってくれるんだろう」
「こんな質問したら失礼かな」などと常に考えてしまっていたからです。
これらの悩みは、一瞬、相手のことを思って悩んでいそうな感じがしますが、全ては、“相手に自分が良く見られたい”と思っているから、失敗する事が怖くて、ずっと緊張をしていたのです。
しかし、コーチングで『質問力』を勉強した時に、「会話って、相手と一緒に作っていくもので、自分が作ろうと必死にならなくて良いんだ」という事がわかり、すごく気持ちが楽になりました。
コーチング技術の質問
私たちが普段行なっている質問では、既に相手が知っていることについて質問することがほとんです。
しかし、コーチングにおける質問では、相手が気づいていない、相手の中にある意欲や答えを引き出します。
この質問ができる事で、相手はナゼかあなたと会話をすると、自分の中に眠っている、課題達成や問題解決のための答えが見つかる不思議な経験をします。
でも、そうなったら、相手はもうあなたといつも会話をしたくなりますよね。相手はあなたのことを、「この人は、自分のことをきちんと理解してくれて、応援してくれる人だ」と頭で理解をするはずです。
会話を弾ませたい本当の理由
きっとあなたも私と同じで、『相手との会話を弾ませたい』というのは、ゲラゲラ笑い合うような会話をしたいということではなく、「この人との会話の時間は、変な緊張もなく心地良いな」という感情になれる会話をしたいのではないでしょうか。
実は、前回ご紹介した傾聴が出来るようになれば、この問題はほとんど解決されています。なぜかと言うと、人は、自分の話を聞いてくれる人との会話が楽しいと感じます。
もちろん、お笑い芸人のようにずっと笑わせてくれる人がいれば、楽しいのでしょうけど、おそらく初めだけだと思います。やっぱり、人は、自分の話を真剣に聞いてくれて、自分の存在を認めてくれる人と一緒に居たいものなのです。
今回ご紹介する質問も、あなたが質問した後には、また相手の話を傾聴します。そうすることで、相手はどんどん気持ちよくなっていくはずです。
質問力を磨く5つの質問
前段が長くなってしまいましたが、今回は5つの質問手法についてご紹介します。
①拡大質問
拡大質問とは、相手の気持ちや考えを引き出す質問です。
この質問には、『オープン・クエスチョン』を活用します。
オープン・クエスチョンは5W1Hによって質問をしていきますが、簡単な例をご紹介します。
●What
今まで)こんなことするなんて、いったい何を考えてるの?
これから)そのとき、どう思った?
●When
今まで)いつになったらできるの?
これから)いつまでにできると思う?
●How
今まで)どうやったらこんな状態になるんだ?
これから)どんな方法があると思う?
②確認質問
確認質問とは、相手の意思や事実を確認するのに適していて、YesかNoで答えられる質問のことを言います。
この確認質問は、会話が膨らまないとされているので、会話が弾まない原因にもなってしまいますので、使い方には注意していきましょう。
①の拡大質問で出てきた答えの曖昧さや迷いを取り除き、答えを絞り込んでいく効果も期待できます。
③答えを掘り下げる質問
相手が自分の中にある本当の答えをもっと具体的にハッキリと気付いてもらうための質問方法です。まだ①拡大質問に慣れない内は、折角オープン・クエスチョンをしたけど、淡白な答えが返ってきてしまうことがあります。
そんな時は、
「…って、具体的には?」
「…を、もう少し詳しく」
「他にはどんな案があるかな?」
などの質問を使って、具体的にしていきましょう。
④可能性を引き出す質問
③の答えを掘り下げる質問をして、もし相手が答えに詰まってしまった時など、
更に相手の可能性を広げる質問方法です。
それは、相手に別の視点から考えてもらいます。有効的な質問方法として、ifを使いましょう。
if質問とは、「もしあなたが○○だったら』質問です。
「もしあなたがそこにいたら?」
「もしあなたが彼だったら?」
「もしあなたにもっと時間があったら、どうすると思う?」
などの質問を使って、新しい視点から答えを引き出しましょう。
⑤未来予測をしてもらう質問
ここまでの質問方法を使ったあなたとの会話で、相手は自分の可能性や意欲がだいぶ明確になっています。あなたとの会話を心地良いと感じているでしょう。
最後に、相手の未来を一緒に見ていく質問をして、相手の背中を押してあげる会話をしてみましょう。
基本的には、明るい未来を一緒に描く質問をします。
「これがクリアしたら、何がしたい?」
「○年後にはどうなっていたい?/どうなっていると思う?」
「これがうまくいったら、何が得られるかな?」
まとめ
ここまで、①から⑤までの質問方法を紹介してきました。
この質問方法を使って、明るい未来まで一緒に描いた後、明るい未来に歩き出したのも束の間、初めてやってうまくいかない事があり、壁にぶつかって悩むことでしょう。
そんな時は、あなたが質問力を使って背中を押してあげましょう。
「いま壁にぶつかっているそれをやらなかったら、どうなるかな?」
「このまま先延ばしにしていたら、どんな影響があると思う?」など質問して、相手を脅すのではなく、一緒に考えてあげるスタンスで会話をしていきましょう。
もうお分かりだと思いますが、今回ご紹介した質問方法は、前回ご紹介した傾聴力がベースにあってできる事です。
相手の中に、相手が会話をしたいネタがあり、それを傾聴で拾い上げ、質問を使ってそのネタを広げていくことが、もっとも効果的な会話の弾ませ方だと私は思っています。
少し練習が必要になりますが、必ずあなたの悩みに役立ちます。
是非ご参考ください。
今回の記事は、私が学んだコーチング養成講座とは別に、著書「コーチングのツボがわかる本」を参考にしていますので、より詳細を知りたい方がいれば、ご参考くださいませ。
それでは今回はここまでとします。
ありがとうございました。